働く母のすすめ

You are stronger than you think.

アカデミック・ライティングを意識して読書感想文に取り組んでいるという話

息子の学校では読書感想文は任意提出の課題なのだけれど、我が家では、息子が小学1年生の頃から(半ば強制的に)毎年取り組んできた。読書感想文に関しては、書き方を教えずして課題だけ出されることのナンセンスさなど、色々な批判があるけれど、我が家の場合はタイトルの通り(読書感想文出題者の意図とは乖離しているかもしれないけれど)アカデミック・ライティングを意識し、論理的な文章を書く練習として、この機会を活用することにしている。

ちなみに、私がイメージしている&息子に教えたいと思っているアカデミック・ライティングは、あまりガチガチのやつではなくて、こういう感じの少しゆるっとしたもの。
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/250143/1/writing.pdf

"ゆるっとしたもの"と書いたけれど、こういう比較的簡単なルールであっても理解&意識して文章を書いている人は決して多くないと思う(自分が専門書を書くようになって気がついたのだけれど、専門書が分かりにくいのは、書いている人のライティング能力があまり高くないことが原因であることが多い)。

とはいえ、最初からアカデミック・ライティングを意識して読書感想文に取り組もう!と思っていたわけではない。親の立場になって、改めて読書感想文について調べてみたところ、コンクールで賞を受賞するような情感豊かな文章を書くスキルは、後天的に習得する類のものではないだろうと思ったこと(100%私の主観)、特に読解能力に見事な凹凸がある息子がそうしたスキルを習得することは労力対効果が低過ぎると思ったことから、息子の特性と成長に合わせて、論理的な文章を書く練習をすることにした。

息子は抽象的な物語を読んで、文章の表記から登場人物の心情を推察するということが驚くほど苦手で、物語を読んだ後にそのあらすじを尋ねても、その本がどんな内容なのかを全く伝えられなかったのだけれど(一応過去形)、一方で、歴史や文化、自然科学などの事実を記載した文章であれば、あらすじも自分の意見もそれなりに的確に言える。読書感想文の課題を通して息子のそんな傾向を把握できたので、その結果として、読書感想文は論理的な文章を書く練習にしよう!という方針に切り替えたというのが正直なところだ。

 

我が家流の読書感想文作成の基本的な流れは、以下の通り。

1. 読書後、印象に残った場面とその感想を列挙する(手短に)。

2. 特に印象に残った場面について、3~5つほど選び、どうして印象に残ったのか?など、自分の思いや考えを掘り下げ、言語化して記録する。

3. 2の中から、特に印象に残った場面and/or主張したい考えを3つ選び、それらをうまく繋ぐ主題(テーマ)を考え、それに合わせた流れを作る。

4. 作文の導入部分と最後のまとめを作成する。両者は主題に沿った内容にし、まとめは導入部分を受けた(一貫性のある)内容にする。

特に小学校低学年のうちは、(息子の特性や成長にあわせて)親が予め本を読んで内容を把握しておいたり、感想の掘り下げや言語化、列挙を手伝ったりする必要があったけれど、小学校中学年くらいから少しずつサポートを減らしていき、現在(中学生)はほぼ一人で2000文字くらいの感想文を埋められるようになった。現状では、上記の3や4のステップなど、まだ上手くできていない部分もあるけれど、私が息子と同じ年くらいの頃(作文は割と得意なつもりだった)よりは、格段に論理的で自分の考えをきちんと主張した文章が書けているように思う。こうしたガチガチに論理的な作文は、読書感想文向きではないだろうと思って取り組んでいたけれど、意外にも息子の読書感想文は何度か学校代表に選ばれたことがあり、客観的にも評価され得る文章になっている(こともある)のかなと思っている。それから、誤解のないように記載しておくと、息子は小学校高学年の頃、作文力向上のための塾に行っていたので、その影響もあると思う(多い時は、400-600文字くらいの作文を毎週1本書いていた)。


アカデミック・ライティングの他にも、ディスカッション能力やソーシャルスキルなど、大学で学問を学ぶ(のであればその)前に身につけておいた方いい(というより本来身につけておくべき)スキルと、それらの根底にある「自分の意見を言語化して人に伝えることの重要性」を初等-中等教育でもっとガッチリ教えておく必要があると思っているので、それなりの労力と時間を費やしています。