働く母のすすめ

You are stronger than you think.

新学期に、心あらたに。

始業式の前日「ねえ。母ちゃん、明日から1人で学校に行ってみる。」と息子が言った。

1年生の1学期は、毎朝登校班の集合場所まで一緒に行き、2学期からは息子の申告に合わせて、少しずつ一人で行く距離を長くしていったのだけれど、玄関から1人で出るのはハードルが高かったようで、結局1年生のうちは、途中まで一緒に行く形になっていた。

「あ。そうなの?頑張ってね。」
どっちでも構わないのよ風を装ってみたけれど、ついに自らそう思える日が来たのかと感慨深かった。始業式の朝になったら「あ、やっぱり今日はまだ一緒に行こう?」と誘われたので一緒に家を出たのだけれど、それから数日経った朝、突然「1人で行ってみる。」と決意を込めたように言ったので、初めて息子の「いってきます」を玄関で聞き、その背中を見送った。

「アンタの背中は、お父さんと一緒で人見知りの背中やわ。」
小学生の頃、初めて親と離れて旅行に行った私を見送った時の気持ちを、母がそう後述していたのを思い出した。

1年生の最後には、少し休息が必要となった息子の新学期。クラス替えもあり変化の時ということもあり、夫も私も息子の様子に注意を払っていたのだけれど、それは(今のところ)杞憂のよう。仲のよかったおともだちとは、ことごとく別のクラスになったのだけれど、早々に新しいクラスのおともだちと仲良くなったようで、去年は新しいおともだちができるまで半年くらいかかっていたのが、嘘のようだと思った。そうやって、よい意味での肩すかしを食らいながら、成長を見守って行くんだろうなと思った。

 

---
「AくんとBくんは、学校が終わったらいつも公園で遊んでるんだよ。」
夜、帰宅したら、息子のカバンに見慣れないハンカチが入っていたので質問すると、そう答えた。学童で公園遊びをした時に、Aくんの名前入りのハンカチが落ちていたので、翌日、学校で渡すために持ち帰ってきたという。学童では上級生にかわいがってもらい、土日も一緒に遊んだりしている息子だけれど、平日は私たち親の帰宅が遅く、同級生のおともだちと約束して遊ぶという経験をさせてあげられていないということは、ずっと心のどこかに引っかかっていた。けれど息子は、自分も一緒に同級生のおともだちと遊びたいと言うことはなく、翌日、洗濯したハンカチを丁寧にカバンに入れて、学校に行った。

それからほどなくして、授業参観があった。午後休を取って参観に行ったのだけれど、その日は珍しく大雨が降った。びしょ濡れになって帰宅すると、息子が窓の外を眺めながら、ぽそりと言った。「あ〜あ。今日は、クラスのおともだちと公園で遊べると思ってたのにな。」

珍しく、息子の本音を聞いたと思った。そういえば、少し前から「ねえ、母ちゃん、今度お仕事お休みするのっていつ?学校に来る日があるでしょう?その日は、学童はお休みするよね?」と何度か聞かれていたことに思い当たった。授業参観の日には午後休を取ることを伝えると「それって、何日?何曜日?その次はいつあるの?」と細かく突っ込まれたので、おや?と思っていた。私たち親に気をつかっているのだろうか?初めから無理だと諦めているのだろうか?決して、直接的に口にすることはなかったのだけれど、息子はやっぱり同級生のおともだちと遊びたかったんだろうなと思った。


GWが9連休な夫の都合がよければ、連休の中日は学童をお休みして、クラスのおともだちと遊ぶお約束をしてきたら?と提案すると、息子は「そうなの!?」と声をはずませた。そして、翌日、クラスの半数近い男の子と遊ぶ約束をしてきたよ、と笑顔で帰ってきた。


仕事を続けることで、息子に与えられるものもあれば、与えられないものもある。だからこそ、これからも息子には胸を張って「母ちゃんはお仕事、頑張ってるんだよ」と言えるよう、理不尽な力に屈しないためのしなやかな強さを蓄えていこうと思う。
年度末、年度始めのdutyを(ほぼ)終えたので、決意をあらたに。