働く母のすすめ

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教育費って、何だ。

教育費の負担が重いという話は、よく見聞きしていて、例えば"大学まで国公立に通った場合"と"大学までずっと私立に通った場合"の比較データなんかを見かけたりするのだけれど、どういう試算なのか詳細が開示されていなかったりして、個人的にはもやもやするデータだなあと思っていた。ちょっと調べてみたら、おもしろいデータを見つけたので、色々と書いてみようと思う。

そのデータはこちら。

文科省の発表した、平成26年度「子供の学習費調査」の結果について


ちなみに、私は、グラフは捏造しなくても指標の設定方法や統計解析のやり方で、ある程度は、自分が主張したい内容に近い形に整えることが出来ると理解しているので、基本的に色んなバイアスがかかっている可能性を考慮して、営利目的な民間企業のデータより国の発表したデータに重きを置いている。(営利目的な団体のデータ自体を否定しているわけではなく、出来るだけフラットなデータをベースに自分の理解を深めたいと思う性格であるという意味)


前おきはさておき。私がもやもやしていた最大のポイントは「教育費」ってどこまで含んでるんだろう?という問題で、上記のデータは、この点に対してとてもクリアにされているので、読んでいてスッキリした。

以下、データの解釈。データは全て上記の文科相平成26年度「子供の学習費調査」からの引用。

まず、データは、大きく分けて以下のように切り分けられている。詳細は上記データの12ページ目にまとめられているのだけれど、ざっくりかいつまむと以下の通り。

・学校教育費
学校教育のために各家庭が支出した全経費。
(例)授業料、修学旅行の積立、PTA会費、受験料や入学金、寄付金、算数セットとか縦笛とか授業でつかう学用品費、部活(課外の部活も含む)費、制服や通学用カバンの購入費、通学のための交通費などなど

・学校給食費
文字通り、学校の給食費

・学校外活動費
補助学習費及び、そのほかの学校外活動費の合計。(学校でも使うものは除く)
(例)参考書や勉強机・パソコンなど家で使う学習グッズ、塾・家庭教師、習い事に必要な物品や月謝などなど

端的に表現すれば、学校教育費は(一部払わなくてもよいものもあるけど)通園・通学に最低限必要と思われる金額の目安で、学校外活動費は、親のさじ加減な要素の強い物と分けられるんじゃないかと思う。


こうして、クリアに支出を分類した結果を、グラフ化したのが以下のもの。

まずは、1年間にかかる学校教育費について、公私立を比較したもの。上記サイトには幼稚園から高校までのデータがあるけれど、とりあえず小学校分。

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公立安いっ!ありがとう税金!っていうか私立高いっ!私立は公立の15.0倍。

 

次に、学校外活動費を学年別に集計したもの。ざっくり分けると、
・補助学習費;自宅学習や塾などの勉強に使う費用
・その他の学校外活動費;ピアノや水泳、習字などのいわゆる習い事の費用。

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小学校から私立に通わせるようなご家庭では、やはり小学校から学校外活動費の支出が多い。公立通学組では、小6で約30万円/年になるけど、小1-小5は20万/年程度で、習い事2個分の月謝くらいといった印象。それと比べ、私立小学校通学組では、低学年の50万円/年強から始まって、高学年はお受験対策なのか、小4で60万円/年を超えたあとは、小6の74万円/年まで上昇。月額にして6万円。
あとおもしろいと思ったのは、公立通学組ではどちらかというと、習い事(その他の学校外活動費)>お勉強(補助学習費)な感じに対して、私立通学組では、お勉強>習い事である点(支出ベースであって、割いている労力や時間ベースではない)。

中学については、ざっくり30万円前後/年という感じで、公私立で変わらない印象。私立は中高一貫な場合が多いから、ここはのんびりなのだろうか?一方で、高校受験があると思われる公立の中3だけが、どーんと補助学習費が増えている。

高校は、小学校時代ほどの差はないけれど、私立通学組で若干高くなる。高校になると、私立も千差万別なので小学校ほどの差にはならないのだと思われる。


これらの結果をまとめた数値が、下の表。

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 この表は、色々なデータが凝縮されていてすごく興味深い。

上にもざっくりと書いたけれど。学校外活動費は、主として塾や習い事の費用なので、乱暴な計算だけれど、最低限必要な教育費は、学校教育費と学校給食費で、小学校から高校まで公立で過ごせば、(59,288円+43,176円)×6年間+(128,964円+38,422円)×3年間+242,692円+×3年間=614,784円(小学校)+502,158円(中学校)+728,076円(高校)=1,845,018円となる。
小学校から高校までは、12年間なので、小学校入学時から年間約15万円、つまり月額1万3千円くらいずつ積み立てれば十分ということになる。さらにいうならば。所得制限にかからない家庭では、3歳から中学生までは、月額1万円ずつの児童手当が支給されていたりする。


上記のサイトによると、大学学部の1年間の学費(授業料、その他納付金、就学費、課外活動費、通学費)は、国公立で67-68万円/年、私立で約132万で、大学からが一番学費がかかるし、実際、塾や習い事に全く行かないという選択が現実的かどうかという問題もあるので、それほど楽観視してもいけないとは思うけれど、教育費の負担が重いと悲観するほどでもないのかなと、今回のデータを見て、個人的にはそう思った。

教育費を重いと思うかどうかは、各家庭の経済状況と、各家庭が教育にどこまで求めるかによって様々。というベタな着地点。


つづく。(かもしれない)