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働く母のすすめ

You are stronger than you think.

お弁当

息子の保育園では、年に一度だけお弁当持参の日がある。10月、遠足の日に。

 
毎年その時期には、私の仕事的にある意味一番重要なプレゼン資料の締め切りがある。去年は寝不足のぼーっとした頭で、息子が残さず食べてくれそうで、お外でも箸使いがおぼつかなくても食べやすそうで、走り回る息子のリュックの中でもそこそこ形を保てそうで、腐りにくそうなものでとか。あれやこれや考えて、何とかお弁当を作り終えたのだけど、息子の好きなハンバーグや切り干し大根などを詰めたお弁当は、何だか全体的に茶色っぽくて、彩りにかけるものになってしまった。
 
その日の仕事の帰り道。Facebookのタイムラインに流れる保育園ママたち作のお弁当が、手のかかり過ぎない範囲でかわいく工夫されていて。息子が、他の子たちのお弁当を羨ましく思ったんじゃないかと、申し訳なく思っていたのだけど。
閉園近くにドタバタと保育園に駆け込んで息子に「お弁当どうだった?」と聞くと満面の笑みで「ぜーんぶ食べたよ!母ちゃん、ごちそうさま!」と言ってくれたので、不覚にもそのまま玄関で涙した。
 
お弁当には、たくさんの思いが詰まっている。
 
最近、ぐぐっと寒くなり。昨日から息子が体調を崩している。滅多にない夫の出張と重なったこともあり、止むを得ず、休みをいただきたいと連絡したら、上司に子どもの体調不良で休むということに対して苦言を呈された。いい返したいことは山ほどあったけれど、全ての言葉を飲み込んだ。
本調子ではない息子を連れ歩くのは憚られたけれど、快諾してくれた実家に息子を託すことにし、悔しい思いを噛み締めて、高速を2時間ぶっ飛ばして出勤することにした。
 
実家を出る時、母から紙袋を手渡された。
 
「これ、お弁当。あるもん詰めただけやけど。息子ちゃん、晩ご飯食べさせてお風呂も入れておいてあげるから、今日は、帰りの時間を気にせんと頑張っといで。」

職場に着いて食べたお弁当は、やさしい母の味がした。

今朝もまだ微熱が下がらない息子は「母ちゃんとおうちに帰りたい」と涙を溜めていたのだけれど、後ろ髪を引かれる思いで実家に託して出勤した。

今月の息子の遠足の頃には、また寝不足の日々になるのだけれど。私はまた不慣れな手でお弁当を作ろうと思う。母がずっとそうしてくれていたように。思いを込めて。